仙台市青葉区の市民会館の前身、市公会堂で50年以上前に使われたピアノの修復が進んでいる。国内外の著名なピアニストが演奏した名器だが、市内の公共施設を転々とするうちに傷みが進行していた。21日には市民会館で復活コンサートが開かれ、眠っていた音色が目を覚ます。
修復中のピアノはヤマハ製の「フルコンサート・グランドピアノ第52400号」。1953年に製作され、仙台初の国産大型ピアノとして導入された。53年、市公会堂でドイツの伝説的な奏者ワルター・ギーゼキング氏が演奏し、音色の素晴らしさを絶賛した。
復活コンサートを企画したのは、市民会館の指定管理者の東北共立・陽光ビル企業体。ピアノが展示されていた仙台サンプラザ(宮城野区)から今年10月、市民会館に戻した。「当時の音を知る人に、もう一度美しい音色を聴いてほしい」との思いを込めた。
ピアノのこれまでの移転経過は、資料がなくて判然としない。仙台サンプラザのほかでは、太白区にあった旧仙台市長町公民館に一時期置かれたことが分かっているぐらいだ。
長い間手入れされず、響板はひびが入り、鍵盤をたたくとかろうじて音が出る状態。青葉区の調律師小林五郎さん(59)は「約30年間の調律経験で、最も悪いレベルの傷みだ」と話す。コンサート開催に向け、複数の調律師が修復作業に当たっている。
コンサートは仙台市出身のピアニスト庄子みどりさんがショパンやボロディンの曲を演奏する予定。クリスマス曲の全体合唱も企画した。企業体は「これからも定期的に演奏会を開く。多くの市民に楽しんでもらいたい」と語っている。
コンサートは午後6時半から。入場無料。連絡先は市民会館022(262)4721。
河北新報
修復が終わったら、是非とも音色を聞いてみたいですね。